こんにちは。清瀬バプテスト教会の牧師の松田真之介です。この4月から教会のブログを始めました。教会のことや、聖書のことなどを書いていますが、毎週金曜日は「牧師の本棚から」ということで、牧師が読んできて感動した本や教えられた本などをご紹介したいと思います。

12回目は藤本満「エリヤとエリシャ」です。これは藤本先生が牧会なさる教会の祈祷会で語られた説教をまとめたものとなっています。

 

旧約聖書ってこんなに面白いんだ!

この本を読んだのは2001年で、私が大学2年生の時でした。大学1年生の終わり頃に、大学で出会った信仰の友人たちの励ましがあり、子どもの時とは違う神様と自分の個人的な関係が確立できました。ちょうど、その時期にこの本に出会いました。

この本は私にとって一つの衝撃でした。それは「旧約聖書ってこんなに面白いんだ!」という衝撃でした。「エリヤとエリシャ」のエリヤはバアルの預言者500人を倒して火の車で天に行ってしまった人というエピソードを知ってはいましたが、エリシャに至っては「?」でした。

教会に小さい時からいると、大体のメジャーなお話は知っているのですが、実際に聖書を読んでいるかと言われると意外と読んでいないことがあります。福音書や創世記くらいは読んでいるかもしれませんが、列王記はほとんど開くことがありませんでした。なんとなく「きっとつまらないんだろうな〜」くらいにしか思っていませんでした。

それが藤本先生を通して解き明かされる「エリヤとエリシャ」の物語は、まるで新約聖書や旧約聖書の物語のように、まさに「物語」なのです。読んでいると物語の情景が浮かんできて、引き込まれるように読むことができました。

 

エリヤの挫折に寄り添う神様の愛

特にこの本を読んでいて感動したのは、エリヤの挫折のところです。そもそも教会学校では「エリヤ=超すごい人」というイメージしかなく、イゼベルの脅迫状で逃げ出して、荒野をさまよって「もう死にたい」なんてエピソードがあったことを知りませんでした。

大学1年生の時に信仰に目覚めたとはいえ、周囲の先輩や友人を見ては自分の信仰の弱さに引け目を感じていました。そんな時にこの本を通して、挫折して逃げ出したエリヤの姿を読んで、親しみを感じました。

そして、恐怖から預言者としての務めを放り出して逃げ出したエリヤを神様は叱ったり、呆れたりなさらなかった。そうではなく、むしろ疲れの中にあるエリヤに安らかな眠りと食事を備えてくださいます。「え、神様そんなに優しいの?」と驚きます。

藤本先生はこのところで次のように語られています。

「…、エリヤを優先した神の中に、私たちは神の愛を見ることができる。神は、イスラエルの民全体のことより、長い間熱心に忠実に仕えてきた一人の男の体と心を気遣い、休養を与えておられる。」

失敗して挫折したエリヤを神様が見捨てない。「神は愛である」というけれど、それは旧約聖書から変わらない。そのことが迫ってきました。

大学生だった当時私は「失敗する」ことにとても恐れていました。人よりも劣っていることも恐れていました。なんとか周りの人に自分は価値のある人間だと思ってもらいたかった。けれど、それができず苦しんでいました。そのような中で、失敗して逃げ出したエリヤを見捨てない神様を知った時に、とても慰められました。

今でこそ当たり前のように、旧約と新約において神様は一貫しておられると知っていますが、当時は「旧約は怒りの神、新約は愛の神」という言葉が普通のように言われていました。決してそんなことはない。旧約聖書の時代から、神様はなんてあたたかいのだろう。そのことに気づかせてくれたのがこの本でした。

 

旧約聖書は面白い!

それ以後、自分で大学時代に通読をするようになり、知らなかった物語や教えに触れて感動することがいっぱいでした。「旧約聖書は面白い。そして慰められ励まされる」とのことに気づかせてくれたこの1冊にはとても感謝しています。

今読んでも教えられ、励まされることがいっぱいです。旧約聖書のちょっと知らないところから学んでみたいという方にお勧めの1冊です。

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